エネルギーハーベスティング(EH)

エネルギーハーベスティング(EH)は、振動、熱勾配、光などの周囲環境からエネルギーを捕集し、それを利用可能な電気エネルギーへと変換する技術であり、持続可能な技術の発展において極めて重要な革新とされている。近年では、微小なセンサーや小型デバイスが極めて低消費電力で動作可能となり、EHの適用対象として特に適している。例えば、心臓ペースメーカーは約50μWの電力で7年間動作し、補聴器は1mWで5日間駆動することが可能である。これらの例は、EH技術がデバイスの寿命延長や電池依存の低減に大きく寄与することを示している。

我々の研究では、振動エネルギーハーベスティング(VEH)や熱エネルギーハーベスティング(TEH)など、さまざまなEH技術を対象としており、近年では特にトライボエレクトリック・ナノジェネレーター(TENG)の開発に注力している。TENGは、物体の振動、人体の動き、水流などの運動エネルギーを電気エネルギーに変換する技術であり、特に低周波(10Hz以下)かつ不規則な振動環境下において高い出力密度を示すことから、VEH分野における革新的技術として注目されている。我々の研究は、TENGデバイスの開発からインターフェース回路、さらには自己駆動型システムの実現に至るまで幅広く展開しており、技術の持続可能性の向上を目指すとともに、将来的なIoT環境への統合を促進し、電池不要なシステムの実現に貢献することを目的としている。